この記事の結論
・サランラップの値上げは、2026年4月13日に旭化成の会長が「避けられない」と発言しています。ただし値上げ幅も実施時期も、いまも発表されていません(2026年10月11日確認)
・発言は「原油高騰やナフサの供給不安で、在庫が切れてくればコストが非常に高くなる。少しずつ値段に転嫁していく」というもので、時期は「夏〜秋以降」としか読めません
・当サイトが追跡している30cm×50mの実質価格は、直近5週間フラットです。会長発言から半年近くたった今も、値上げが実売に出た形跡はありません
・⚠ この記録には裏があります。8月29日〜9月4日は、当サイトが誤って幅違いの商品を記録していました。クリーンなデータで見られるのは9月4日以降だけです
・ジップロックは別の理由で50%動いて見えましたが、これも値上げではありませんでした。1店だけの安値が消え、当サイトの記録が本来の「棚の値段」に戻っただけです
「ラップ 値上げ」で検索すると、上位に出てくるのは2026年4月のニュースです。旭化成の小堀秀毅会長が「サランラップの値上げは避けられない」と発言したという報道で、共同通信や日本経済新聞が伝えています。
この記事が確かめるのは1つだけです。その発言から5ヶ月たった今、実際の値段は動いたのか。会長が「避けられない」と言ったことと、棚の値段が実際に上がったことは別です。当サイトが2026年8月から記録している実売で突き合わせます。
発言の中身 — 幅も時期も無い
2026年4月13日、旭化成の小堀秀毅会長が決算会見でこう述べたと報じられました。
在庫が切れてくればコストが非常に高くなる。少しずつ値段に転嫁していく
背景は原油価格の高騰とナフサ(石油化学製品の原料)の供給不安です。サランラップの原料であるポリ塩化ビニリデンはナフサから作られます。在庫のナフサが安いうちは今の値段を保てるが、切れれば転嫁せざるを得ない、という趣旨です。
この発言に、具体的な値上げ幅と実施時期は含まれていません。報道各社の記事を確認しましたが、パーセンテージも月日も書かれておらず、「ナフサ在庫が切れ始めるタイミングで段階的に」「2026年夏〜秋以降に変化が出てくる可能性がある」という報道側の推測が添えられているだけです。会社としての正式な価格改定告知(「一部製品の価格改定に関するお知らせ」のような文書)は、当サイトが探した範囲では見つかりませんでした。
出典:日本経済新聞「旭化成、サランラップ値上げへ 原油高で『少しずつ転嫁』」(2026年4月13日)
⚠ 同じ時期、別のメーカーでは三菱ケミカルが業務用ラップフィルム「ダイアラップ」を2026年4月21日納入分から35%以上値上げすると発表しています。ただしこれは業務用の別ブランドで、当サイトが追跡している家庭用のサランラップとは別の話です。「ラップ全体が35%上がる」と読むのは早すぎます。
当サイトの実売 — 直近5週間、動いていません
当サイトが追跡しているサランラップ30cm×50mの実質価格です。
| 銘柄 | いまの実質価格 | 1mあたり |
|---|---|---|
| サランラップ 30cm×50m | 447円 | 約8.9円 |
⚠ この記録には注意点があります。2026年8月29日から9月4日までの7日間、当サイトは選択式の出品ページに引っかかっていました。「15cm/22cm/30cm/45cm」のように複数の幅を1ページで売る出品があり、検索結果に出る値段はそのうちいちばん細い幅(15cm)のものでした。除外語の設定漏れが原因で、検索結果は同じ規格で揃わないという記事で見つけて9月4日に直しています。
つまり、クリーンな記録として読めるのは9月4日以降です。この5週間、実質価格は1本も動いていません。会長発言(4月13日)から半年近く、除外語を直した日(9月4日)から5週間、値上げが実売に出た形跡はまだありません。
棚の広さも確認しました。検索結果には30cm×50mだけを売る出品が複数あり、446円〜582円の範囲に10店が並びます(2026年10月11日)。当サイトの記録はこの中で安い側の帯にあり、1店だけの値段ではありません。9月17日の確認時(404円〜634円・15店)より範囲は狭く、上限も下がっています。
ジップロックも動いたが、値上げではなかった
同じ旭化成ホームプロダクツが扱うジップロックも、当サイトの記録では大きく動いて見えました。9月上旬に、記録していた実質価格が1週間ほどで約50%上がったのです。会長発言と関係があるように見えますが、確かめると違いました。
原因は当サイトの記録の側にありました。9月4日より前、当サイトが記録していた値段は1店だけが出していた1,980円という安値でした。棚の他の店(30店中)は2,750円〜3,462円に並んでいて、1,980円はそこから大きく外れた値段でした。9月上旬にその1店の出品が消え、記録は本来の「棚の値段」である2,750円前後に戻りました。これは値上げではなく、当サイトが1店の安値を記録していた状態から、市場の実勢価格に戻っただけです。
⚠ 「記録が50%動いた」と「値上げが50%あった」は別の事実です。この記事はジップロックについて値上げがあったとは書きません。9月4日以降、記録は2,750円〜2,994円のあいだで推移していて、こちらも大きな一本調子の上昇ではありません。
「発表があった」ことと「値上げされた」ことは別
当サイトが扱ってきた値上げ記事の多くは、洗剤や醤油のように、メーカーが出荷価格の改定日とSKUを具体的に発表しているケースでした。今回は違います。会社としての正式な発表ではなく、経営者の会見での発言が報じられただけで、幅も日付もありません。
このケースで当サイトが書けるのはここまでです。「値上げは無い」とも「もうすぐ上がる」とも書きません。言えるのは、2026年4月に会長がそう述べたこと、そして2026年10月11日時点で当サイトの実売にはまだ出ていないことだけです。ナフサ在庫が切れるタイミングは外から分からないので、いつ動くかも予測しません。
買う前に確認する3つ
- 「値上げへ」という見出しだけで前倒しで買わない。幅も時期も発表されていない段階で買いだめても、実際の改定と時期が合うとは限りません
- 大きく動いて見えたら、まず棚の広さを疑う。1店だけの値段を記録していた商品が「戻る」ときも、同じくらい大きく動いて見えます
- 幅×長さの面積で比べる。ラップは10m巻きから100m巻きまで同じ「1本」で売られています。値段の変化を見る前に同じ規格で比べられているかを確かめてください
まとめ
- 旭化成の会長が2026年4月13日、サランラップの値上げは「避けられない」と発言。値上げ幅・実施時期は10月11日時点で未発表
- 当サイトの実売(9月4日以降のクリーンな記録)は5週間フラット。値上げが実売に出た形跡はまだ無い
- ⚠ 8月29日〜9月4日の記録は選択式出品の誤検出があり、除外して読む
- ジップロックの50%上昇は値上げではなく、1店だけの安値が消えて棚の実勢価格に戻った現象
- 三菱ケミカルの35%値上げ(ダイアラップ)は業務用の別ブランドで、家庭用サランラップとは別の話
結局どうするか
いま買いだめを急ぐ理由はありません。幅も時期も発表されていない発言だけで前倒しするのは、実際の改定を待つより高くつくことがあります。使い切れる分を、いつもどおり買えば足ります。
この記録は今後も続けます。実質価格が動いたら、この記事に書き足します。
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